システマとは


 中世ロシアで生まれ、体系化され、ロシア軍の特殊部隊などに採用されてきたシステマには

「苛烈な戦場における生き残るための武術」

そんなイメージがあるかもしれません。

 

しかしながらその基本は”どんな状況下でもリラックスを保つ”という、私たちの日常にとても近いものです。

  

システマは、男性でも女性でも子どもからお年寄りまで、性別や年齢にかかわらず、その方々それぞれの、体との対話・心との対話ができるシステムです。

 

もちろんシステマは武術なので格闘的な側面もありますが、トレーニングの多くは”自分の中の変化に気づく”ということを目的としています。

 

自分の心のあり方次第で体はどのようにも変化します。

 

自分の変化は周りをも変えます。心が緊張していれば体にも力が入り、その状態が近くの人にも伝わっていきます。

緊張している人を見て、緊張しちゃった経験。ありませんか?

リラックスしてニコニコしている赤ちゃんを見て、心がほぐれた経験。ありませんか?

 

また同じように、体の状態次第で心のあり方はどのようにも変化します。

肩のこりをほぐしてもらったり、疲れた体を温泉などで休めたとき、帰りは心が軽やかになった経験、みなさんにもあると思います。

  

心と体の変化を知ることは、リラックスへとつながります。

リラックス出来ていれば、様々な状況に柔軟な対応ができます。

 

システマ九州では「システマ」というシステムを学ぶことで、本来私たちが持っている感覚を見つけ、より繊細に自分を知っていくことを目指しています。

 


システマの歴史

ロシアンスタイルの武術の歴史は10世紀にさかのぼります。

 

広大な国ロシアはその歴史の中で東西南北、あらゆる方向からの侵略者の攻撃を退けなければなりませんでした。

侵略者たちはそれぞれ異なった様式の戦闘法と兵器で迫り、戦闘は様々に異なった地理的状況のもとで行われました。

 

それは凍てつく冬のときもあれば、うだるような暑い夏のときもあり、敵の武力の大きさに圧倒されることもしばしばでした。

このような様々な要因の結果、ロシアの兵士達は非常に革新的でかつ多様性のある戦術と強い精神力を兼ね備える戦闘スタイルを身に付けました。

 

その戦術は様々な状況下であらゆるタイプの敵に対して実践的かつ強力、そして効果的なものでした。その格闘スタイルは自然で自由なもので、道徳的な制限を除けば厳密なルールや頑迷な組織、制約を持たないものでした。

 

全ての戦術が本能的な反応や個人の強さや特徴に基づくものであり、より速く習得できるように考えられてきたのです。

共産主義が強くなってきた1917年、共産主義によって全ての国民的伝統は排斥されました。

歴史ある武術を実践してきた人々は厳しく弾圧されたのです。しかし、権力者達はロシア武術の有効性と潜在的可能性をすばやく見抜き、ロシア武術はスペツナズの精鋭達のために保護されたのです。

ソビエト連邦の崩壊以来、他の多くのロシア流の戦闘スタイルが再び陽の目を見ました。

例えばサンボ(レスリングスタイル)、などがそのトレーニング方法や競技大会、出版物などを通して紹介されています。

 

ロシアンマーシャルアーツ、システマは元ロシア内務省特殊部隊のヴラディミア・ヴァシリエフとミカエ ル・リャブコにより一般社会に公開されました。

 

 

システマの哲学

ロシアン武術がシステム(system)(ロシア語ではシステマ(systema))と呼ばれるのには訳があります。

人の生命の価値を高めるための理念とその訓練法がロシアン武術には完全に含まれているからなのです。

なわち、武術的な技術を身に付けるということは身体の生理学的機能を向上させるための道であると同時に、人間存在の3つのレベル、身体的側面、心理的側面、スピリチュアル的側面 (訳注:ロシア正教的意味)を高めるための道なのです。

破壊の否定(壊さないこと)、これこそがロシアン武術の根本原理です。
ロシアン武術の目標とするところ、その訓練やそのあり方は自分や自分の仲間の肉体や精神を傷つけるものではない、ということには念を押しておきます。システマとはそれ自体が肉体、心、そして魂を創造し、育み、強化することであり、単にそのための道具を与えるという以上のものなのです。システマはまた、私達が日常の営みの中で負っている、身体的、心理的、スピリチュアル的ダメージを回復する術も示してくれています。

システマとは別名“poznai sebia”すなわち「汝自身を知れ」です。「自分自身を理解する」の真に意味する所はなんでしょうか。それは単に自分の強さや弱さを知ることではありません。もちろんそれも大切なことですが表面的なことに過ぎません。システマにおける訓練とは、自己の限界を十全に把握するための真正な方法の一つです。自分の何が誇るべきことであり、何が弱い所であるのか、それを知るための術なのです。システマは魂の持つ真の強さを私達に与えてくれます。すなわち魂の持つ真の強さを生じさせる「人間の生きる目的」を見つめる時に必要な謙虚さと純粋性をもたらしてくれるのです。

ロシアンシステムの根底にはロシア正教の信仰があります。その教えるところは、私たちの身に起こることは皆、善いことも悪いこともわけへだてなく、それに対して出来うる限り最善を尽くしていくということ。

すなわちそれは己自身を理解するという、究極的な目的に繋がっているということです。

 

ロシアンシステマで行う適切な訓練はそれと同じものをもたらしてくれます。自分が最善を尽くすべき状況、その中で自分自身を、そしてその様々な局面において自分ができることを把握するために最善な状況を与えてくれます。


Mikhail Ryabko(ミカエル・リャブコ)の初心者への言葉を紹介しましょう。
「善い人になりなさい、そうすればあらゆるものがあなたについてくるでしょう」

システマはあなたが正しい道を選び、進んでいくための助けとなるでしょう。


「システマトロントウェブサイトより抜粋翻訳」